最も主流なカード占いと言えば「タロットカード占い」です。
しかし主流と言えど、リーディングはとても複雑。
1枚のカードだけでも「基本的な意味」「正位置」「逆位置」とあるので、情報量は膨大です。
しかもその膨大な情報の中から「質問者とその質問に合った答え」を選ばなければならないのですから、気が遠くなってしまう人もいるでしょう。
そこで今回は、
- 大アルカナ12番・吊るされた男のカードの基本的な意味
- 恋愛関係の質問で「吊るされた男」が出た時の解釈例
- 仕事の質問で「吊るされた男」が出た時の解釈例
これらに焦点を絞ってお話していきます。
タロットカード「吊るされた男」の基本的な意味
一見すると「処刑現場なのかな…?」と思ってしまう、大アルカナ12番・吊るされた男のカード。
確かにこのカードは別名「死刑囚」や「刑死者」とも呼ばれており、さらに13番には死神のカードが続きます(大アルカナカードは一連の物語になっていますから、順番にも意味があります)。
直接的ではないにしても「死」の気配が漂うこのカードを、「怖い」と感じる人は多いのではないでしょうか。
しかし意外にも「吊るされている本人はポジティブな気持ちである」という設定があるのが、このカードの面白いところです。
諸説ありますが、吊るされた男のモデルは北欧神話の最高神・オーディンと言われています。
オーディンは知識を得ることに貪欲で、ルーン文字の解読方法を知るために世界樹・ユグドラシルの枝で首を吊りました。
首を吊って9日目に縄が切れたのでオーディンは一命を取り留め、そして無事にルーン文字の解読方法を会得できたそうです。
この神話を踏まえて考えると、吊るされた男は何らかの目的を持って自ら吊るされていることが分かります。
自ら吊るされているので、男は苦しみを感じません。
むしろその先にある希望に思いを馳せて、ポジティブなエネルギーを蓄えているのです。
では、より詳しい「吊るされた男」の意味をキーワードで見てみましょう。
正位置のキーワード
忍耐、我慢、今を受け入れる、修行、試練、努力、試行錯誤、自己犠牲、抑制、妥協、自分を押し殺す、ストイック、禁欲的、信念を貫く、奉仕の精神、献身、見返りを求めない、魂の成長、悟り、ひらめき、視点を変える、発想の転換、困難を乗り越える、苦難の後の幸せ
正位置は「自らの目的を成すために進んで修行し、試練に臨んでいく」というイメージです。
目的達成までの道のりが険しくても、「吊るされた男・正位置」はその状況を受け入れ、あらゆる努力をします。
自分を犠牲にしなくてはならない時もありますが、それを厭いません。
なぜなら未来を信じて献身すれば、目的達成のために必要な成長を遂げられると知っているからです。
このカードが出た時は、
「辛く苦しい状況でも、これはあなたに必要な試練です。これを乗り越えれば幸せが待っています」
というメッセージになります。
また、「逆さ吊り=視点を変える」という意味にもなります。
このことから「行き詰っているなら発想を変えてみては?」というメッセージが送られているとも考えられます。
今の考え方に固執せず柔軟な発想をすることで、現状打開のヒントが得られるかもしれません。
逆位置のキーワード
無駄な努力、骨折り損、徒労、やせ我慢、報われない、悪あがき、思い通りにいかない、我慢の限界、停滞、状況の悪化、出口が見えない、試練、修行、自暴自棄、投げやり、欲望に負ける、自己中心、反逆、損得勘定をする、見返りを求める、自己否定、被害妄想、本質が見えない、不安、悩み、狭い視野、依存
逆位置は、
「何で自分がこんなことをしなくてはならないの?」
「こんなに頑張ってるのに見返りがこれっぽっちなの?」
このような「修行や試練に対する不満がダダ漏れの状態」です。
不満は目を曇らせます。
そのため「自分ばっかり酷い目に遭っている」と被害者意識を持つばかりで、修行に身が入りません。
しかし自分では頑張っているつもりなので、時間を無駄にしていることに気づきません。
「長時間勉強していたけど、ほぼ上の空だったから全く頭に入っていなかった…」
このような状態です。
このままだと当然良い結果は得られないので、「頑張ったのにダメだった。私の努力は誰にも認めてもらえない…」と、さらなる不満や被害者意識を募らせ自己否定に陥ります。
このカードが出た時は、
- 今の自分は悲劇の主人公気取りになっていないか
- 正しい努力ができているのか
を客観的な視点で振り返ってみましょう。
タロットカード「吊るされた男」の恋愛パターン別の解釈
では、ここからは恋愛のパターンに応じた「吊るされた男」の解釈をしていきましょう。
恋愛パターン① 相手の気持ち・未来
恋愛における相手の気持ち、恋愛の未来(行方)に関するタロット占いで「吊るされた男」が出た場合の、正位置と逆位置それぞれの解釈例です。
「フリーの人」、「片思いの人」、「両想いの人」の関係別で記載しているので、ご自身に合ったものを参考にしてくださいね。
正位置の解釈例
【現在フリーの人の場合】
「恋人が欲しい!」「結婚したい!」という自分の願望のために行動しても上手くいかない時です。
出会いはあっても、なかなか進展しないでしょう。
今は自分のために行動するより、誰かのために行動すると良さそうです。
積極的にボランティアに参加したり、誰かの手伝いをしてみてください。
慈善活動を通じて良縁に恵まれそうです。
ただし…
「このボランティアサークルは若い人が多いから出会いがあるかも」
「この人はお金持ちだから手伝ったら大きな見返りがありそうだ」
このような下心は良縁を遠ざけてしまいますから注意です。
「助けたい」「力になりたい」というまっさらな気持ちが大切です。
【片思いの人の場合】
相手はあなたに良い印象を持っていますが、それはまだ恋愛感情ではないようです。
そして今は障害が生じやすい時なので、アプローチのチャンスに恵まれないかもしれません。
仕事が忙しかったりタイミングが合わなくて、話をしたり連絡をする暇も無くて焦ってしまいそうです。
しかし恋愛成就の可能性はあるので、長期戦覚悟で今は耐えてください。
また、相手に直接的なアプローチをしなくても、自分に興味を持ってもらう方法はいくらでもあるはずです。
例えば、周囲の人間が驚くほど外見を磨けば、その人もあなたに興味を持つでしょう。
勉強したりスキルを身につけておけば、色んな人を助けることができます。
そうすればあなたの良い評判が広まり、好きな人の耳にも入るかもしれません。
外見でも内面でも自分を磨いておいて損はありません。
直接的なアプローチが不向きな今は、自分磨きに専念して間接的なアプローチをしていきましょう。
【両想いの人の場合】
2人の相性は悪くありませんが、障害が立ちはだかる時です。
多忙で一緒に過ごす時間が減ってしまったり、転勤などで遠距離恋愛になってしまうかもしれません。
もどかしさや寂しさで感情のコントロールが上手くいかず、相手にその気持ちをぶつけたくなってしまうでしょう。
しかし今はその状況を受け入れ、逆にどうすれば現状を楽しめるのか話し合ってみてください。
これまでとは違う状況・環境になったからこそ、新しい発見や楽しさが見つかるはずです。
互いを思いやる気持ちと愛情さえ忘れなければ、物理的な距離があっても問題はありません。
むしろ離れている分だけ、愛情が深まることだってあります。
今は発想を変え、臨機応変に現状を楽しくする方法を考えましょう。
または、結婚に向けての障害やトラブルの発生を示唆しているのかもしれません。
両親に反対されたり、勤め先のトラブルやリストラなどで、結婚の話が停滞してしまいそうです。
しかし2人の仲に亀裂が入るわけではないので、冷静さと思考の柔軟さを駆使すれば乗り越えられる試練です。
今は耐える時でもあるので、状況が好転するのを待ってみても良いでしょう。
逆位置の解釈例
【現在フリーの人の場合】
良縁には恵まれない時期です。
出会いがあっても長続きしない恋愛にしかならないので、時間を無駄にしてしまうでしょう。
もし「それでもいい!」と思ってしまうのであれば、それは「寂しさ」や「見栄」のために恋人を欲しているだけなのかもしれません。
そのような思惑は「依存」「執着」「他人を見下したいという気持ち」を生み出してしまうので、それで幸せになれるかと言うと疑問です。
良い恋愛をして人生を楽しむには、自立心を持つことと、見栄っ張りをやめることが重要です。
幸せになるためにも、今は自分を高めることに専念しましょう。
趣味を楽しんだり勉強などをして、恋愛とは距離を置いてみてください。
「一人でも楽しい!充実している!」となれば、「寂しさ」や「見栄」のための恋人が欲しいとは思わなくなります。
「互いを高め合えるような人」や「一緒に人生を楽しめるような人」を求めるようになるでしょう。
そのような人との恋愛は、人生を豊かにしてくれます。
真の幸せを手に入れるためにも、今は一人でいることを受け入れ、己を高める努力をしてください。
【片思いの人の場合】
相手はあなたを恋愛対象として見ていないので、現段階でこの片思いを実らせるのは困難です。
あなたがどんなにアプローチしても、相手の心には響きません。
頑張りが空回りしてしまう時期なので、今は必要最低限の交流だけにしておいた方が良さそうです。
しかし状況の好転を待っていても、恋愛成就の確率は低めです。
諦めて新しい恋に頭を切り替えた方が、良い未来を切り拓けるかもしれません。
もし諦めないのであれば、あなたがアプローチをする際の考え方を改める必要があるようです。
「ここで優しくすれば好きになってくれるはず」
「これをプレゼントすれば好きになってくれるだろう」
このような下心を持ちながら、相手に色々と尽くしてきませんでしたか?
そして「尽くしたのに何も見返りがない!」と不満に思っていませんか?
心当たりがあるなら、その考え方はNG。
相手はあなたに「尽くしてください」とは頼んでいません。
それなのに「尽くしたのに見返りがない!」と不満に感じるのは自分勝手です。
「助けてあげたのだから好きになって!」ではなく、「好きな人には苦しんでほしくないから助けたい!」といった考え方にシフトチェンジしてください。
この恋においては「無償の愛」や「奉仕の精神」といった言葉を軸にして、見返りを求めないようにしましょう。
【両想いの人の場合】
試練の時。
もし結婚話があがっていても、何らかの問題が発生してスムーズに結婚までたどり着けないようです。
その問題というのは、家族の反対、相手の浮気、二股、借金といったものの可能性があります。
あなた一人の努力ではどうしようもなく、結婚を諦めるか、もしくは破局にまで至ってしまうかもしれません。
それでも「この人と結婚したい」と思うなら、解決の糸口が見つかったり、気持ちが落ち着くまで静観すると良いでしょう。
トラブルが発生した直後はパニックになっているため、冷静で的確な判断ができません。
その人と結婚したいがために、焦って不利な条件を受け入れてしまう恐れもあります。
客観的なものの見方ができるようになるまで、判断は先延ばしにしましょう。
また、あなたが相手に対して、
「こっちはこんなに尽くしているのに、なぜあなたは私に尽くしてくれないの?」
と、不満に感じている可能性もあります。
表向きは「愛しているから耐えられる。あの人に合わせてあげられるのは自分だけ」と、格好をつけて周りに言っているかもしれません。
しかし内心は「どうして私に合わせてくれない!?どうして分かってくれない!?」と、憤りを感じているのではありませんか?
片方が無理をしている関係は、残念ながら長続きはしません。
一度、本音で話し合いをした方が良さそうです。
その際に注意したいのは、相手にも言い分があるのを忘れないことです。
もしかしたら仕事が多忙だったり、何か辛いことがあって、恋愛モードではなかっただけかもしれません。
ヒステリックに自分の言いたい事だけを相手にぶつけるのは話し合いではありません。
感情的にならないようにして、相手の話にも耳を傾けてください。
あなたが納得できるような理由を相手が提示してくれたら、あなたも「自分ばっかり我慢している」という被害者意識は無くなるはずです。
そうすれば「この人をもっとサポートしたい」と、無償の愛を捧げたくなるでしょう。
もし納得できないのであれば、あなたが無償の愛を捧げたいと思える人は別にいるのかもしれません。
「この人じゃないと自分は幸せになれない」という思い込みを捨て、視野を広げましょう。
恋愛パターン② 復縁
復縁に関するタロット占いで「吊るされた男」が出た場合の、正位置と逆位置それぞれの解釈例です。
正位置の解釈例
徐々に復縁できる確率は高まってきています。
相手は今「よりを戻したいのかどうか分からないな〜、迷うな〜」という状態で、まだ気持ちの整理がついていないようです。
このカードが出た時は、相手に合わせたり、尽くすことがキーポイントとなります。
なので何度も連絡をして相手のペースを乱したり、復縁を催促するような行動はNG。
反感を買って復縁の成功率が下がってしまうので気を付けてください。
「吊るされた男・正位置」は「困難の先の幸せ」を示すカードです。
寂しさや焦りに耐える時間は長く苦しいでしょうが、未来の幸せを信じて、相手の出す答えを静かに待ちましょう。
逆位置の解釈例
相手はもうすでにあなたとの恋は終了したと思っているため、復縁は厳しいようです。
今どんなに頑張ったとしても相手の気持ちは変わらないでしょう。
もし相手が復縁を受け入れたとしても、何か裏がありそうです。
お金や体だけを求められたりして、都合の良い人になってしまうかもしれません。
相手からの頼み事もどんどんエスカレートしていきそう。
きちんと断れれば良いのですが、「断ったら嫌われてしまう!」という恐怖から言うことを聞いてしまう可能性が高いです。
もしかしたら悪事に利用されてしまうかもしれないので気を付けてください。
「どんな末路になってもあの人を愛しているから構わない」と思えるのであれば関係を続けても良いですが、長い時間を苦しい試練に費やさなければならないことを覚悟してください。
途中で後悔してしまいそうなら、新しい恋に踏み出した方が良いでしょう。
タロットカード「吊るされた男」の仕事に関する解釈
次は、仕事に関する「吊るされた男」のカードの解釈をしていきます。
正位置の解釈例
あなたの実力が試されたり、成長するための試練が訪れそうです。
苦しいことや辛いことが起こるかもしれませんが、それを乗り越えた先には素晴らしい未来が待っています。
素晴らしい未来を想像して、それを原動力に変えましょう。
そして苦しい時でも周囲への献身・配慮を大切にしましょう。
誰かを助けることは、自分を助けることに繋がります。
あなたを支援してくれる人が現れたり、後の評価アップも期待できるでしょう。
しかしこの時期は自分を犠牲にし過ぎてしまうので、体調不良に注意です。
忙しいと趣味の時間が減ったり、食事や睡眠をないがしろにしてしまいがちです。
そうすると心と体の健康状態が維持できなくなり、仕事にも支障をきたしてしまいます。
せっかく頑張ってきたのに、完走できなかったら悔しいですよね。
それを避けるためにも、仕事以外の時間は仕事を忘れてリフレッシュするように心がけましょう。
転職を検討している人や就活中の人は、同じく試練の時です。
転職希望の人は、今は転職のタイミングではないようです。
もう少し今の仕事と向き合ってみる必要がありそう。
就活中の人は、採用までに時間がかかるようです。
面接や試験などをいくつもこなさなければならなくて疲弊してしまったり、スキルや勉強が足りなくて焦ってしまうかもしれません。
それでも今は着実に一歩ずつ前に進んでいくしかありません。
明るい未来を信じて、今は目の前のことに集中しましょう。
逆位置の解釈例
努力が報われず、忍耐を強いられる時です。
無茶な仕事量を任されたからプライベートを犠牲にしてまで頑張ったのに、それ相応の報酬がもらえなかったり、一生懸命に準備してきたプロジェクトが中止になってしまったり。
頑張りが不満や疲労の形になって返ってくるかもしれません。
一度心を落ち着かせて、会社のあり方に問題が無いかどうか考えてみてください。
明らかなパワハラや嫌がらせなのであれば、そこの会社はあなたに相応しくない場所です。
転職を視野に入れた方が良いのかもしれません。
タイミングが悪いだけなら、「またチャンスはある」と現状を受け入れ、気分転換してください。
もし自分の手際の悪さや努力不足に心当たりがあるなら、気持ちを切り替えて今後の行動を改善していきましょう。
上手く気持ちが切り替えられないなら、勉強会や講習などに参加してみるのがオススメです。
モチベーションの高い人達から良い刺激をもらえそうですよ。
転職を検討している人や就活中の人は、楽観主義で挑むと危険です。
「なんとかなるさ」と軽い気持ちで臨んでしまうと、予想以上の苦戦に心を折られてしまいそう。
受けようとしている会社に関する下調べや、面接・試験の準備がまだ甘いかもしれません。
その根底には、
「第一志望ではない会社のために自分の時間を消費したくない」
こんな気持ちはありませんか?
第一志望でなくとも、1社でも採用されていれば心に余裕ができるので損は無いはずです。
今は念入りすぎるぐらいが丁度良いので、投げやりにならずに傾向と対策を練ってみましょう。
まとめ
今回は「大アルカナ12番・吊るされた男のカード」に関するお話でした。
北欧神話の最高神・オーディンの話を聞くと、「たかが文字のためにやりすぎじゃない?」と思う人もいるでしょう。
しかしルーン文字を深く知ったことで、オーディンはさらなる知識を得て、あらゆる魔術を自在に操れるようになりました。
つまり無駄な犠牲ではなかったということです。
「こんなことやって何になるの」と思っても、それはもしかしたらあなたの人生をより良くするために必要なことなのかもしれません。
そのように考えられれば、困難にぶつかっても悲観的にならず、明るい未来へ向けて歩き出せるのではないでしょうか。