「ケルトクロススプレッド」や「ケルティッククロススプレッド」とも呼ばれる『ケルト十字』。
数あるスプレッドの中でも汎用性が高く、占いの現場でも良く使用されるスプレッドの一つです。
様々なやり方や変形型など、歴史の中で変わっていったこともありますが、今回は最もオーソドックスな「ケルト十字」の展開方法や、それぞれの位置の意味、解釈の仕方などを説明していきます。
ケルト十字とはどんなもの?
『ケルト十字』とは、もともとアイルランドで信仰されているケルト教会の円と十字で構成されたシンボルに由来しています。
タロットにおける『ケルト十字』の左側の二つの十字に見える部分6枚がそのシンボルを模しており、「相談の問題やテーマの本質を探っていく部分」です。
そして、右側の4枚で構成されている縦のラインが「問題やテーマの本質を取り巻く環境」を表し、左側の本質を客観的な観点で補足する部分です。
どんな質問に適している?
『ケルト十字』で占える内容は多岐にわたります。
相手や自分の感情、問題の原因や障害、問題の過去や現在、これからの展開や可能性まで、一つの内容に対して多角的に読み取ることが可能です。
なので、相談者自身の悩み事でも、相談者が気になる相手に起こっていることでも、恋愛でも仕事でも「なんとなくこの先どうなりますか?」といった漠然とした質問内容でも大丈夫です。
『ケルト十字』の読み方・展開方法
どんなものでも占える『ケルト十字』ですが、だからこそ占う時に押さえておきたいポイントが3つあります。
- 誰のことを占うのか、相談内容の当事者が誰なのか(相談者なのか、相談者が知りたい人なのか)
- 8枚目に展開するカードの対象が何なのか(特定の人・環境・周りの人など)
- 10枚目の結果は何か月先にするか(半年以内で)
この3点を明確したうえで、相談内容のテーマについて占うようにしましょう。
展開順は、展開図の番号の順番に配置していきます。
並べ方&意味
配置されたカードには、それぞれ次のように表している意味があります。
- 現在の状況
質問内容について、占うときに設定した当事者や問題そのものが、今どういう状態になっているか
- 障害と対策(キーカード)
必ず正位置で読み取ります。現状に対して、抱えている問題、対立するものや乗り越えるもの、問題に対してどう取り組むべきかを示しています。すべてのカードに関係する指針となるカードです。1と2が質問内容の本質を特に表しています。
- 顕在意識:表に出ているどう思っているか、可能性
占うときに設定した当事者が問題に対して、理解していることであったり、表に出てくる行動のこと。
- 潜在意識:表に出ていない現状に対する気持ちの面での原因
占うときに設定した当事者が問題に対して、気が付いていない気持ちや、無意識で起こっていること。また、問題に関する根本的な要因を表していることもあります。
- 近い過去:現状に対して影響していたこと
問題の現状に対して強く影響したことや、3か月ぐらいの直近で影響した事柄。原因や理由となっていること。
- 近い未来:現状から起こりやすそうな未来
問題が、時間経過によってどう変化していくのか。10の結果に向かうまでの過程の中で影響するであろう事柄。あくまでも可能性の一つであります。
- 相談者の立ち位置や状況:問題に対してどんなかかわり方をしているか
1とは違い、当事者が問題に対して、客観的にみてどういう状況であるか。考えや立ち位置など。
- 周りの人の状況:問題に対しての周りの状況
当事者の周りの環境のこと。占うときに設定した特定の人なのか、環境なのかによっても変わるが、物質的な面と考えといった思想的な面が表れます。
- 相談者の願望:こうなったらいいなや、これは嫌だなといった問題に対しての願望
あくまでも当事者が気が付いていない願望であったり、10の結論に対して、どういった心持でいるのかを表すこともあります。また見落としている要素を表すこともあります。
- 結論
占う際に設定した時間軸でどういう結末を迎えるか、結論。期間の設定は半年以内にしておくと良いでしょう。
解釈の仕方・手順
使用するカードの数が多いため、解釈には手こずりますが、以下の点を押さえて読み解いていきましょう。
- 全体を見る
使用するカードの多いスプレッドに共通して、まずは全体から受ける印象を言葉にしてみましょう。
- 大アルカナの量や位置
- 正位置や逆位置
- 各スートの量
- 全体の色
気になった部分や、共通点などをピックアップして細かいところをみけ行くためのヒントにしていきましょう。
- 対になっている項目を読み解く
対になっている部分を読み解いていきましょう。
- ③顕在意識と④潜在意識という当事者の意識
- ⑤過去と①現在と⑥未来という時間軸
- 一枚一枚を読み解く
②は問題を象徴するキーとなるカードです。
悩みの核の部分であり、最終的にこうなりたいという部分に向かうために乗り越える部分でもあります。
それぞれのカードと、照らし合わせながら全体の解釈を勧めていきましょう
④の潜在意識や、⑧の周りの環境なども多く関わってくる部分ともいえますので、併せて読み解くとよいです。
最終結果のカードは他の9枚を経てたどりついた結果です。
⑩の結果だけにとらわれず、時間軸を踏まえ、②のキーカードと⑨可能性を総合的に見て解釈していきましょう。
恋愛相談における実例・解釈例
相談される内容として多い恋愛ですが、相手がどう思っているかについて聞かれることもあります。
そういった場合、相手の方を当事者にして、周囲の環境を質問者、あるいは相手の方を取り巻く環境と設定します。
今回の解釈の例は
「良いなと思っている相手がいるのだけど、最近連絡がなくて、相手はどう思っているのだろうか」
という相談内容を想定して解釈していきます。
当事者を「相手」、8番目が「相手の取り巻く環境」、最終期限を「3か月後」とします。
展開されたカード
- 相手の状況:ソードのクイーンの逆
- 障害と対策:ソードの2
- 顕在意識:恋人の逆
- 潜在意識:カップのペイジ
- 過去:ソードの4
- 近未来:ワンドのナイト
- 相手の置かれている現状:皇帝
- 周りの環境:女帝の逆
- 願望:魔術師の逆
- 結果:ワンドの3
解釈例
まず全体を見る
客観的な側面で大アルカナが多く、時系列でみると過去から現在にかけてが「ソード」で未来に向けてが「ワンド」と分かれています。
また、彼自身は白やグレーといった色合いですが、周りを取り巻く環境は黄色やオレンジ、赤といった明るい色をしています。
対になっている項目を読み解く
顕在意識と潜在意識の間では、潜在意識ではカップのペイジで「愛嬌があって可愛い感じや、楽しみたい」といった意味合いがあり、「気にかけている様子」がうかがえますが、顕在意識のでが「共生・調和」といった意味のある恋人が逆位置に来ています。「連絡をとる」ということに「調和ができていない」=「連絡がうまく取れない状況」なのかもしれません。
⑤過去も、ソードの4で「休息」といった意味合いのあるカードですが、逆位置のため「休息がとりたくても取れない」状況であったと考えると、「仕事などで忙殺されている」のかもしれません。
キーカードがソードの2で「選ばずに均衡を保つ」といった意味のカードで、今は「恋愛やあなたのことを気にかけてはいられない」とも取れます。
ですが⑥近未来にはワンドのナイトで「動き出したい」といった意味がありますので何かしらの動きがあると思います。
全体の解釈を進める
⑦の彼の客観的状況に皇帝が出ていて、「社会的な権威やリーダー」などを表しています。
もしかしたら「プロジェクトとリーダーといった責任ある立場」にあるのかもしれません。
⑧の周りの環境が「豊かさを」表す女帝の逆位置で、「過剰な期待」をかけられていたり、「充実を超え忙殺」にあるともとれます。
ただし、⑥未来に「行動したい、アクティブに動きたい」といった意味の「ワンドのナイト」と、⑩に「選び動きだす」といった「ワンドの3」があり、最終目標が3か月後と設定したので、その前には落ち着き何かしらのアクションがあると読めますので、もう少し待ってみても良いでしょう。
まとめ
『ケルト十字』についてそれぞれの意味や展開法、解釈例を挙げて行きました。
10枚という多くの枚数を使うスプレッドですので、最初は戸惑うことも多いと思います。
展開方法が覚えられないといったこともあるとは思いますが、 図を参考に照らし合わせながら繰り返し展開してみましょう。
最初はうまく読めなくてもいいです。
展開したスプレッドを記録しておき、引っかかったところや解釈を書き留めて、一晩立ってから改めて確認してみるのも良いでしょう。
今回挙げた解釈例もあくまで、例にすぎません。
正解ではないですし、もっとほかの読み方もできるでしょう。
正解がないからこそ難しくも感じられますが、繰り返していくことで並べ方や読み方も慣れていけると思います。
ぜひ、チャレンジしてみてください。