『吊るされた男』のカードの絵柄は、「身動きが取れないし、縛られていて痛そう」に見えてしまいますね。
彼にとって、この状況は「罰」ではなく「修行」なのです。
穏やかな表情、そして頭には後光がさしています。
厳しい状況の中での「内観」を思わせます。
状況に似合わず、絵柄は明るい色が使われていますね。
この人物の精神性の高さ、豊かさが現れているのです。
仕事の悩みを占ったときに、この『吊るされた男』のカードが出たら何を意味するのでしょうか?
今回は、「吊るされた男」の「仕事」での基本的な意味、人間関係や転職・適職などを占う時の解釈例や解釈のポイントについて詳しく紹介していきます。
タロット「吊るされた男」の「仕事」での意味&キーワード
正位置の場合の意味・キーワード
高い精神性/奉仕/静止/忍耐/身動きが取れない/限界/使命感/修行
「吊るされた男」は正位置で出ると、今は「忍耐」「努力」の時期ととらえます。
その時期を超えたところに、進化した自分を見つけることになるでしょう。
逆位置の場合の意味・キーワード
我慢/もどかしさ/報われない/偽善/逃げ出す/受け入れができず苦しむ/自分が犠牲になる
逆位置になると、苦しい現状を受け入れられず、さらにつらい状況に追い込んでしまいます。
間違った方法や考え方を認めることが必要なのでしょう。
【仕事】に関する相談内容別の解釈
ここからは、仕事に関する相談内容の中でも、特に多い次の4つについて、「解釈例」と「解釈のポイント」を解説していきます。
では、順番に見ていきましょう。
「転職」について占う時の解釈例
「転職して失敗したくない」「転職してキャリアアップしたい」など、転職については迷ってしまいますよね。
「今は転職をどう考える時期なのか」を占う時の解釈例と解釈のポイントを見ていきます。
正位置の場合
転職を考えているあなたは、決して安易な気持ちではないはず。
ただ、今は肉体的にも精神的にも疲れ果てているようです。
現在の仕事もかなり困難で、努力をしていることでしょう。
まず現状を受け入れて、あせって動かず、今の仕事が落ち着くのを待ちましょう。
余裕が出てきたら、もう一度じっくり転職を考えてみてください。
【ここが解釈のポイント!】
吊るされた男のカードに描かれているのは、「身動きの取れない状態」そのものです。
今は「待つ」時であることを教えてくれます。
この絵柄の人間は吊るされていても、表情は穏やかです。
「いつか何とかなるさ」と言っているかのよう。
無理に動いても足の紐はきつくなるばかりです。
逆位置の場合
今の仕事があまり向いていないのかもしれません。
努力してもあまり報われていないことに、がっかりしているのではないですか?
適性をきちんと評価してみましょう。
向いている仕事でも、がんばりの方向性が間違っている時もあります。
他の人に意見を聞いてみましょう。
そもそも今、転職が必要なのか、そこから見直すことから始めてみてください。
【ここが解釈のポイント!】
『吊るされた男』のカードが、逆位置で出るときは「無駄な努力」や「現実逃避」を表します。
確かに我慢を重ねたつらい時期であるようです。
ただ間違った努力をしている可能性があります。
間違ったまま逃げよう(転職)としても、また同じように苦しい状況に追い込まれそうです。
今は他者のアドバイスに耳を傾け、情報収集する時期と解釈します。
「今の仕事が適職か」を占う時の解釈例
「今の仕事は向いてないように思えてきた」「このままこの仕事続けていていいのかな」
この仕事に自分は向いているのか、一度は悩まれたことがあるのではないでしょうか?
「今の仕事が適職かどうか」を占う時の解釈例と解釈のポイントです。
正位置の場合
「大変だけどやりがいがある」と感じているなら適職と言えます。
今は修行の時期ですので、分かりやすく成功がイメージ出来ていないかもしれません。
「がんばれば理想に辿り着ける」と思えるなら、このまま努力を続けてください。
時間はかかるかもしれませんが、スキルや実績はあなたのものになるでしょう。
がんばりすぎて、ストレスをためないように気を付けてくださいね。
【ここが解釈のポイント!】
「修行」も意味する『吊るされた男』のカード。
理想に辿り着くために修行をしている時期です。
本人がそれを自覚できているのなら、無駄な時間ではありません。
男が吊るされている木には、緑の葉が生き生きと描かれています。
これから成長する未来を表現しています。
逆位置の場合
今まで「この仕事は自分に合っているはず」と無理をしていたのではありませんか?
うすうす感じていたように、今の仕事ではあなたの良さを発揮できていません。
他にあなたに合う仕事のジャンルがありそうです。
自分を犠牲にしてまで、今の仕事を続ける必要はないでしょう。
信頼できる人に助言を求めてみるのもおすすめです。
あなたが思ってもみなかった仕事の方向性が見つかるかもしれません。
【ここが解釈のポイント!】
逆位置で出ると「自分を過信」している状態ととらえます。
「自分を間違って認識している」イコール「向いていない仕事についている」と言い換えることができます。
思い込みもあるようなので、他者から見た(本人の気付いていない)適性を教えてもらうと、新たな道が開けそうです。
「適職は何か」を占う時の解釈例
自分の適職は何かを占う場合、大アルカナ22枚・正位置のみで占います。
「どんな職業が自分に向いているのか悩んでいます。参考にしたいので適職を教えてください。」
といったように「適職が何か」を占う場合の解釈例と解釈のポイントを見てみましょう。
解釈例
① 看護師・介護士
直接「人の役に立っている」実感が得られる仕事が向いているでしょう。
他にも福祉関連の職員、ボランティア活動もやりがいがあると感じます。
② 研究者
コツコツと地道にデータを積み上げたり、実験を重ねたりすることが苦ではないはず。
その先に見つけたい真理があるからです。
③ コンピューターソフトの開発者
時間もかかり、ハードワークになりがちですが、「この努力がいつか世の中の役に立つ」と思うので、がんばれます。
【ここが解釈のポイント!】
①『吊るされた男』のカードには「奉仕」の意味があります。
吊るされていても穏やかな表情であるように、「大変でも人のためになる」ことに喜びを感じます。
行き過ぎると、自分を犠牲にしてまで人に尽くしてしまうので注意が必要です。
② 絵柄の男は逆さの状態でも、頭の周辺は光で輝いています。
苦境であっても、頭はクリアでひらめきを得ているのです。
他の人ならその状態で耐え続けることはできないでしょう。
③ 開発には時間も労力もかかります。
しかし「先の先を見ている」ので、今の大変さは苦になりません。
良いアイディアが「ひらめく」頭脳も重要な素質でしょう。
「仕事の成果」を占う時の解釈例
あなたの仕事は、がんばりに見合う結果が出ていますか?
ここでは現在の仕事で「現実的な成果をあげられているのか」を占う時の解釈例と解釈のポイントを見ていきます。
正位置の場合
あなたはかなり努力をしてきたのだと思います。
しかし、上司や会社の規則、仕事相手の指示などで「これ以上動けない」状態になっているようです。
今は待つしかありません。
あなたも疲れがたまっているので、悪あがきせず、静観していてください。
結果が出るまでに時間がかかりそうな様子です。
【ここが解釈のポイント!】
『吊るされた男』は「待つ」ことを教えてくれます。
吊るされているので「今は身動きが取れない」状態なのです。
動けば足を縛っている紐はどんどんきつくなるでしょう。
この男のように穏やかな表情で「静観」することが必要なのです。
逆位置の場合
自分の評価と周りの評価がずれていませんか?
「うまくいってる」と思っていても、やり直しを命じられて不満が出てきそうです。
独りよがりな出来上がりになっていないか、他者の目も借りましょう。
このまま強引に進めても、もっと苦しむことになります。
「ここが間違っていたのか」と素直に認められたら、案外楽になれるものです。
【ここが解釈のポイント!】
現状を正しく認識できず、「もがき苦しんでいる」状態を表しています。
もがけばもがくほど、紐がきつくなり痛みを感じるでしょう。
正位置の「達観」したような気持ちになれず、自分視点でしか物事を見られていません。
自分の能力や間違いを素直に認識できれば、事態はこれ以上悪化しないと読みます。
「仕事での人間関係」を占う時の解釈例
職場の人間関係は仕事のパフォーマンスにも影響しますよね。
人間関係の悩みについて『吊るされた男』のカードは、どんなアドバイスをくれるでしょうか。
「仕事での人間関係」を占う時の解釈例と解釈のポイントです。
正位置の場合
思うようにならず、あまり良い関係性とは言えないですね。
あなたに原因があるというより、「どうしてかそうなってしまう」ようです。
すぐには明るい環境にならないかもしれません。
これ以上ギスギスしないように、仲を取り持ってあげるのもよいでしょう。
あなたも一人でいる時間を楽しむようにして、あまり気に病まないことです。
【ここが解釈のポイント!】
『吊るされた男』のカードは、「身動きの取れない」状態です。
今すぐには解決しない問題のようです。
「奉仕」の気持ちで、周りに気を配ってあげるのもよいでしょう。
『吊るされた男』は一人ですが、寂しそうな様子はありません。
一人の時間を孤独と思わず、豊かな時間にしたいものです。
緑の葉が示すように、時間がたてば、状況も好転します。
逆位置の場合
「自分だけ浮いてしまっている」、「何故か壁を造られている気がする」…。
そんな雰囲気を感じ取っているのかもしれませんね。
仕事が忙しく、プライベートの時間がとれなかったりする人もいるでしょう。
自己中心的な行動をしていませんでしたか?
自分や他人、もしくは両方を犠牲にするような考え方の「癖」があるようです。
その「癖」に気が付けば、行動も変わってきますし、まわりとの関係性も良くなってくるでしょう。
【ここが解釈のポイント!】
正位置の「奉仕」の意味が逆位置だと「自分のことしか考えない」と見方が変わります。
また「自虐的」にも発展し、そしてイライラを爆発させてしまう可能性も。
思考の悪い癖に気が付き、改めることで関係性は落ち着いてくると考えます。
まとめ
大アルカナ12番目のカード『吊るされた男』。
吊るされているのに、男の表情は穏やかです。
服の色も明るく、頭は光で輝き、並の精神力ではないことを感じさせます。
正位置で出たときは、「奉仕」「忍耐」を表し、厳しい現実を静かに受け止め、今は修行の時期とわかっているのです。
苦しい時期を超えた先に「成長」が待っていることでしょう。
逆位置で出たときは、「無駄な努力」「自己中心的」という意味合いが強くなります。
見方やスタンスを見直すことで、良い方向へ流れを変えることができるでしょう。