「自分に何が向いているのか分からない」
「自分の強みって何?」
「そもそも自分ってどんな人間なんだろう?」
「自分が本当に望んでいることって?」
「自分を知って、自分を変えたい」
人生において、「自分のことが分からない」「自分を知りたい」と思う方は多いでしょう。
そんな「自分を知りたい」、つまり自己分析をしたい時に、とても適しているのが「生命の樹」というスプレッドです。
今回は、その「生命の樹」スプレッドについて、意味、読み方、解釈例を解説していきます。
「生命の樹」とはどんな意味のスプレッド?
「生命の樹』とは”Tree of Life”の日本語訳で「セフィロトの樹」とも呼ばれている樹のことで、旧約聖書の中で「エデンの園の中央に植えられている樹」のことを指しています。
ちなみに、そのエデンの園には「生命の樹」とともに「知恵の樹」も生えていたとされ、双方の実を食べることで、人は神と同様の能力を持つ存在になるとされているんですね。
そして、「生命の樹」の図は、ユダヤ教の宗教上の教えである「カバラ」の中では「10個の天体」とそれをつなぐ「22個のパス(線)」を体系化した図でもあり、神に近づくための修行の過程を表したものです。
タロットにおいては、この「カバラ」における図を基に、配置と意味が決められています。
どんな占いに適している?
「生命の樹」で占えるものは、恋愛運、仕事運、自己分析、人生についてなど多岐にわたります。
内容に対して「相談者がどういう存在になりたいのか」「どんな人間なのか」という人間性や本質といったものが知りたいときに適しています。
対人関係では、あくまで「自分が行動しやすいパターンや考えやすいパターンを示すもの」であり、「ヘキサグラム」のように直接的な関係性を占うものではないので、その点は注意しましょう。
「生命の樹」の読み方と展開法
「生命の樹」で占うときに押さえておきたいポイントは、次の2つです。
- 誰を占うのか(相談者なのか、相談者以外の特定の人か)
- 占う内容
この2点を明確にしておくことです。
個人の本質を見ていくものになるので、「誰のことを占うのか」ということははっきりさせておきましょう。
展開方法は図のように、番号順に展開していきます。
配置場所の意味
スプレッドには、配置されたカードそれぞれが表している意味があり、次の通りです。
意味には諸説ありますが、今回は出来るだけ分かりやすいものを紹介しています。
- ケテル(王冠):目標
相談者の基本的な性格や、占う時点での心理状態。
人生で向かうべき到達点や理想。
- コグマ(知恵):情熱
男性的な側面。
やる気や情熱、知識や行動理念(問題が発生した時の対処方法や能力)を表す。
また、相談内容の原因を示すこともある。
- ビナー(理解):試練
女性的な側面。
問題が発生した時に周りに対して、どのように理解や共感を示すか。
相談内容の問題点や乗り越えなければいけない課題(試練)そのものを示す。
- ケセド(慈悲):武器
相談者の強み・長点。
また、相談内容において味方となるものを示す。
- ゲブラー(峻厳):障害
相談者が手放した方がよいものや障害になるもの。
相談内容において敵となるものを示す。
- ティファレト(美):達成
相談者の霊性(守護霊的なもの)または、相談内容において達成できる目標。
- ネツァク(勝利):情熱
相談者の自信のある事。
また、対人関係の状態(良いか悪いか、積極的か消極的かなど)
- ホド(栄光):環境
相談者の自信のない事。
また、仕事や学習の環境。問題解決に不足しているもの。
- イェソド(基礎):潜在意識
相談者の魂の性質。
潜在意識。
- マルクト(王国):現状と結果
相談者の肉体の性質。
全体像。
相談内容に対する現在置かれている状況や最終的な答え。
「生命の樹」の解釈の仕方・読み方の手順
使用する枚数が多く、意味が難解なスプレッドでもある「生命の樹」ですが、以下の点を押さえて読み解いていきましょう。
全体を見る
使用するカードの多いスプレッドに共通して、まずは全体から受ける印象を言葉にしてみましょう。
- 大アルカナの量や位置
- 正位置や逆位置
- 各スートの量
- 全体の色
気になった部分や、共通点などをピックアップして細かいところを読み解くためのヒントにしていきましょう。
図を参考にして、色分けされた区分を下から読む
「生命の樹」を解釈していくときは木が成長していくように、下から順番に読んでいきます。
また、図の色分けごとに段階を踏んで読んでいきます。
- ⑩が「現在相談者が置かれている状況」を表しています。
- ⑦~⑨で「潜在意識」を表し、「相談者の自覚していない想いや物事」を表しています。
- ④~⑥で「顕在意識」を表し、「相談者が周りに対してどう向き合えばよいか」を表しています。
- ①~③で「魂」を表し、「基本的な性格や人生のテーマ」を表しています。
展開場所ごとの意味とカードを照らし合わせながら読み解く
色分け区分を見ていくのと同時進行になる場合もありますが、展開した位置の意味とカードを照らし合わせながら、一つ一つ読み解いていく。
「生命の樹」の解釈例
相談者自身を深く知るために適した「生命の樹」を使って、今回は、
「興味がある仕事について勉強をしているけれど、本当に向いているのだろうか」
という相談内容について解釈していきます。
展開されたカード
- ワンド6
- ワンド4
- ソードのペイジ
- ペンタクルス9逆
- ワンドA逆
- カップのペイジ
- ワンドのペイジ逆
- 吊るされた男
- カップの9逆
- ペンタクルスの2逆
1. まず全体を見る
まず、全体的に構成されている色が、「まだ何も定まっていない、物事の途中」という意味の「グレー」と、「良い変化・祝福」といった意味の「黄色」で構成されています。
大アルカナは、⑧の吊るされた男の一枚のみです。
スート(小アルカナ)は、ワンドが多めですが全ての要素が入っています。
2. 展開位置の意味とそれぞれの区分を下から読み解いていく
次に、展開位置の意味と区分ごとと併せて読み解いていきます。
まずは一番下からでしたね。
現状を表す⑩番にあるのが「ペンタクルスの2の逆位置」。
「ペンタクルスの2」は「二つの物事をバランスよく行っている状態」を表すものです。
仕事の場合は「二足の草鞋を履く」といった意味でとらえると、わかりやすいかもしれませんね。
ただ、逆位置なのでこの場合は「今やっている仕事とやりたいことの勉強との間でまだバランスがうまく取れていない」と取ることができるでしょう。
どちらかというと「始めたばかりで慣れないことも多く、バランスを欠いていて慌てている」といった方が近いかもしれませんね。
潜在意識を表す⑨にあるのが「カップの9の逆位置」。
「満足感や願望」といった意味を表している「カップの9」が逆になっているので、今回の場合だと「今の仕事に満足せず、貪欲に成長していきたい」ととらえることができます。
環境を表す⑧に「吊るされた男」。
「頭では考えているけど身動きが取れない」といった状態の男が描かれているカードですが、男自身はその状況を受け入れながら、次々に策をめぐらせています。
「行動に移している(勉強はしている)けれど、それがうまく未来に繋がるのかわからなくて、もがいている」とも取れますが、「まだ、いまは動く時ではなく、学ぶとき」ととらえることもできますね。
対人関係を表す⑦に「ワンドのペイジの逆位置」。
「やる気のある少年」を表していますが、逆位置ですね。
「未熟」「やる気が空回り」といった意味合いになり、やる気と周りからの印象がかみ合っていないかもしれません。
また周りからは「まだ未熟」と思われているかもしれません。
⑦~⑨を合わせると、
「貪欲に取り組んではいるけれど、やりたいことに向かって目に見える形で行動できていないので、結果周りからは空回っているようにも見える。そのため、少し落ち着いて周りを見てみよう」
という感じ読み取れるでしょう。
次に、達成できる目標の⑥に「カップのペイジ」。
「受容、愛嬌のある人物、想像力豊か」といった意味合いですが、今回の場合だと「まだバランスの取れていなくてもがいているけど、それも時間とともに受け入れて、学んだことが新たな発想につながる」と読み取れます。
⑤の障害となっているものに「ワンドのAの逆位置」。
「やる気や理想からのスタート」といった意味の「ワンドのA」ですが、逆位置ですので「やる気や理想がなくなった」とも取れます。
「やりたいと思って興味を持ち始めたけど、なかなか理想にたどり着かなくてしぼんでしまった」と取れます。
相談内容と合わせると「理想に近づかない現状に向いているか向いていないか不安になった」のかもしれませんね。
自分の長所を表す④に「ペンタクルスの9の逆位置」。
成功した富のある女性を描いた「ペンタクルスの9」ですが「周りに見出されて達成する」といった意味合いです。
逆位置となると少し難しいのですが、「ペンタクルスの8」が「コツコツ修行」といった意味合いで、そこから考えると「周りには気が付かれないところで努力して達成してきた」や、「自分も含めて気が付いていないだけで、積み重ねてきたものがちゃんとあるんだよ」と言っているのかもしれません。
④~⑥を併せて「周りとどう接していくか」と考えると、
「自分から!(ワンド)と前に出るのではなく少し受け身で(カップ)やってきたことをひけらかすことなく(ペンタクルス9)謙虚に学んでいく姿勢を見せる(ペイジ)」
といったところではないでしょうか。
そして、乗り越える試練の③に「ソードのペイジ」。
「計算が早く知的で周りを警戒している少年」を描いているカードで「慎重さ、弱みが見せられない」という意味合いがあります。
「弱みが見せられない」から、素直に教えを請えないのかもしれません。
「少し周りを頼って行きましょう」と読んでもよさそうです。
達成できる目標の⑥の「カップのペイジ」と、割と真逆な雰囲気の「ソードのペイジ」。
「カップのペイジ」は「愛嬌があり素直」といった側面もあるので、周りに頼るのは得意そうですね。
そうすると確かに試練として「弱みを見せられない」という意味の「ソードのペイジ」が出てきたのも納得です。
やる気や情熱といった意味の②に「ワンドの4」がでていて、「安全地帯・ベースキャンプ・家族」といった意味合いがあります。
新しいことを始めようとする原動力には「家族」の存在があるのかもしれません。
そして目標の①に「ワンドの6」。
「ひとまず自分の主張が通る」といった意味合いの「ワンドの6」。
「ひとまず、二足のわらじがはける状態にはなります」と読めます。
どちらかというと「興味があった仕事を始められるスタートラインに立てます」に近いですね。
①~③を総合すると「家族のためにと頑張れる人で、やりたいことのためには素直に教えを請えるようになりましょう」といったところですね。
最後に、ここまでの全てのカードの解釈を合わせ読み解いていくと、
「今はまだ始めたばかりでごたごたしています。そのため、今の仕事とバランスよくやっていけるのか、勉強が自分の身になっているのかという部分で悩んでいるのかもしれません。ですが、素直にわからないことはわからないといって教えてもらうように、まだまだ私は若輩者だと謙虚に行動して続けることで、道を切り開いて行けますよ」
といった解釈が、一つの例として可能でしょう。
まとめ
お伝えした通り、今回紹介した配置場所の意味は、あくまで一例です。
配置場所の意味については諸説あり、意味が変われば解釈もまた変わっていきますので、解釈例も参考までに留めておいてください。
「生命の樹」のスプレッドは決して初心者向きではありませんが、他のスプレッドと同じように、一つ一つ丁寧に読み解いて判断していくのは変わりません。
いろんなスプレッドに慣れてきたら、ぜひ挑戦してみてくださいね。